屋根材施工不良による微小漏水ケース
住宅の雨漏りトラブルは、大きなシミや水滴が落ちるような明確な形で現れる場合だけではありません。施工不良による「微小漏水」は、目立ちにくいにもかかわらず、放置すると構造材の劣化やカビの発生につながる厄介なケースです。ここでは、屋根材施工不良が原因となる微小漏水について、その特徴や発生原因、見抜き方を解説します。
微小漏水の特徴
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症状が目立ちにくい:天井にうっすらとしたシミができる、クロスの一部が浮くなど。
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雨量や風向きに依存する:通常の雨では問題がなくても、大雨や横殴りの雨で発生する。
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被害が進行性:少量でも長期的に木材や断熱材を傷め、気づいたときには腐食やカビが広範囲に。
主な施工不良の原因
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屋根材の重ね代不足
本来確保すべき重なり部分が短く、毛細管現象で雨水が逆流する。 -
釘やビスの打ち込み不良
浅すぎたり斜めに入った釘から雨水が侵入する。 -
シーリングの不十分な処理
板金部分や役物との接合部に隙間があると、そこからじわじわと浸水。 -
防水紙の施工不良
防水紙の重ね方向が逆、あるいは破れを放置したまま施工しているケース。
微小漏水の見抜き方
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天井裏点検:雨の後に天井裏へ入り、断熱材や木材の湿りを確認。
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サーモグラフィー調査:温度差を利用して水分のある部分を可視化。
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散水調査:実際に水を流して漏れの再現を行う。
修繕方法
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屋根材の部分張り替えや釘の打ち直し
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防水紙の補修、場合によっては張り替え
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シーリングの打ち増しや交換
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被害が進行している場合は野地板交換も必要
まとめ
屋根材施工不良による微小漏水は、見た目には気づきにくい分、発見が遅れやすいトラブルです。しかし放置すると建物の耐久性を大きく損ないます。
定期的な点検や早期の補修で被害を最小限にとどめることが大切です。特に新築やリフォーム直後の家では、施工不良に起因するケースもあるため、保証期間内のチェックを欠かさないようにしましょう。