「なぜ、眼鏡はこんな形になったの?」その起源と進化の歴史をたどる旅
普段何気なくかけている眼鏡。実は、その小さな道具には、人類の知恵と技術の進化が詰まった壮大な歴史があることをご存知ですか?
今回は、眼鏡がいつから使われ始めたのか、その起源から日本での普及まで、昔の時代をたどりながら楽しくご紹介します。眼鏡の意外な歴史を知れば、きっとあなたの相棒がもっと愛おしくなるはずです!
眼鏡の起源は中世イタリア!「見る」を変えた革命
眼鏡が発明されたのは、遡ること13世紀後半の中世イタリア。当時のヨーロッパでは、写本(手書きの本)を作る修道士や識字階級の人々が、老眼によって細かな文字が読めなくなることに悩んでいました。
そんな中、レンズを磨く技術を持つ職人が、凸レンズをフレームにはめ込み、文字を拡大して見せる道具を開発しました。これが、世界初の「眼鏡」と言われています。
しかし、この頃の眼鏡は、現在のようにつるがなく、二つのレンズを鋲でつなげただけのシンプルな仕組みでした。これを鼻に挟んで使っていたのです。
【進化の歴史】ヨーロッパから世界へ、そして日本へ
眼鏡はヨーロッパで急速に広まり、時代の変化とともに様々な工夫が凝らされていきました。
1. 鼻眼鏡(ピンチ・ノーズ)と一山眼鏡
15世紀から19世紀にかけて主流だったのが、鼻に挟んで使うタイプの眼鏡です。
鼻眼鏡(ピンチ・ノーズ):バネの力で鼻を挟むタイプで、見た目もエレガント。
一山眼鏡(いちやまめがね):つるがなく、レンズをつなぐブリッジ部分が山のような形をしていることからこう呼ばれ、明治時代に日本でも流行しました。
2. つる付き眼鏡の発明
眼鏡の歴史における最大の革命は、18世紀にイギリスでつる付き眼鏡が考案されたことです。これにより、眼鏡は耳にかけて固定できるようになり、両手が自由に使え、安定性が飛躍的に向上しました。
3. 日本における眼鏡の歴史
日本に眼鏡が伝わったのは、16世紀の近世。フランシスコ・ザビエルによって、室町幕府の将軍・大内義隆に贈られたのが最初とされています。その後、江戸時代には、ガラスの輸入や加工技術が進み、眼鏡が広まっていきました。
特に、徳川家康が愛用していたとされる眼鏡は、今でも静岡県の博物館に保管されています。また、隻眼として知られる伊達政宗も、実は眼鏡をかけていたという説があります。
【素材の歴史】時代を彩る眼鏡フレーム
眼鏡のフレームは、その時代の技術や流行を映す鏡です。
べっ甲:明治時代に流行した高級な素材です。希少なタイマイの甲羅から作られ、独特の美しさがあります。
セルロイド:大正時代から昭和初期にかけて主流だったプラスチック素材。軽くて安価なため、セルロイド 眼鏡は多くの人に普及しました。
金属:金、銀、鉄など様々な金属が使われました。特に、レンズをつなぐブリッジ部分(フレーム)の加工技術は、眼鏡の機能性を高める上で重要でした。
現代へ続く、進化の旅
時代は進み、今ではサングラスやコンタクトレンズ、視力回復手術など、様々な選択肢があります。しかし、眼鏡が人類の知恵と文化に与えた影響は計り知れません。
もし、もっと詳しく眼鏡の歴史に触れてみたいと思ったら、福井県にある「眼鏡ミュージアム」のような眼鏡 歴史博物館に足を運んでみるのも面白いですよ。
これからも、眼鏡の進化は続いていくでしょう。あなたのお気に入りの一本も、この壮大な物語の一部なのです。