屋根のコケや苔が水漏れを誘発する理由とは?放置の危険性と対策を解説
ご自宅の屋根、遠くから見ると、なんだか緑色っぽくなっていませんか?
その緑色の正体は、コケや藻、カビです。
「コケが生えているだけなら、見た目が悪いだけじゃない?」
そう思って放置してしまうのは非常に危険です。屋根に生えたコケは、家の耐久性を著しく低下させ、最終的には水漏れ(雨漏り)を引き起こす原因になってしまうのです。
この記事では、屋根のコケがなぜ水漏れを誘発するのか、そのメカニズムと、放置することの危険性、そして具体的な対策について分かりやすく解説します。
コケが水漏れを誘発する3つの理由
1. 塗膜の劣化と吸水性の向上
新築時の屋根材は、表面に塗装が施されており、この塗膜が雨水を弾く役割をしています。しかし、紫外線や雨風にさらされるうちに、塗膜は徐々に劣化し、防水性が失われていきます。
防水性が失われた屋根材は、雨水や湿気を吸収しやすくなります。コケは水分がある場所を好んで繁殖するため、この状態の屋根はコケにとって絶好の温床となるのです。
2. コケが水分をため込んでしまう
コケは、まるでスポンジのように水分を保持する性質があります。一度屋根にコケが生えてしまうと、雨が降った後も水分が蒸発しにくくなり、屋根材が常に湿った状態になってしまいます。
この状態が続くと、屋根材の劣化はさらに加速し、ひび割れや反り、破損の原因となります。
3. 毛細管現象と水の浸入
特にスレート屋根や瓦屋根の場合、屋根材と屋根材の間にはわずかな隙間があります。コケがこの隙間に生えてしまうと、コケが水分を吸い上げ、本来は水が浸入しないはずの屋根材の下地部分にまで水を引き込んでしまいます。
これを「毛細管現象」といい、これが雨漏りの直接的な原因となるのです。屋根材の下には防水シートが敷かれていますが、長期間にわたる水分の浸入は、この防水シートをも劣化させ、最終的に建物の内部にまで水が浸入してしまいます。
屋根のコケを放置することの危険性
建物の寿命が縮まる
コケの繁殖により、屋根材が水分を吸収し、常に湿った状態になります。これにより、屋根材だけでなく、屋根の内部にある木材が腐食し、建物の耐久性や耐震性が低下してしまいます。
高額な修理費用が発生する
初期の段階でコケを除去し、再塗装を行えば比較的安価に済みます。しかし、コケを放置して内部の木材まで腐食が進んでしまうと、屋根の葺き替え工事が必要となり、数百万円単位の高額な費用がかかることもあります。
今すぐできるコケ対策
屋根のコケは、高所での作業が必要なため、ご自身で除去するのは非常に危険です。足元が滑りやすく、転落事故のリスクが高まります。
専門業者に相談する
コケを見つけたら、まずは専門の屋根修理業者や塗装業者に相談しましょう。プロは安全かつ確実にコケを除去し、再発防止のための塗装を行ってくれます。
定期的な点検とメンテナンス
特に築10年以上が経過した住宅は、定期的に屋根の点検を行うことが重要です。コケが生えやすい環境(日当たりが悪い、周囲に木が多いなど)にある場合は、早めの点検をおすすめします。
まとめ
屋根に生えたコケは、単なる美観の問題ではありません。防水性の低下、水分の保持、毛細管現象といった理由から、家の耐久性を奪い、深刻な水漏れ(雨漏り)を引き起こす危険なサインです。
早期発見とプロによる適切なメンテナンスが、大切な家を守り、将来の高額な修理費用を防ぐための鍵となります。